着任談話会

日時:2010年4月22日(木曜日)16:30−18:00
場所:環境総合館3F 第1講義室
講演者:寺川 寿子(地震火山・防災研究センター助教)
講演タイトル:地震メカニズムトモグラフィーによる2009年ラクイラ地震震源域の地殻内3次元流体圧分布の推定








アブストラクト:

 内陸地震の発生には,地殻内に閉じ込められた高圧流体が深く関与する可能性があると,多くの研究者により指摘されている.しかし,そのメカニズムはよくわかっていない.そこで,我々は,地震のメカニズム解から地殻内の3次元流体圧分布を直接推定する画期的な解析法を開発した.地震メカニズムトモグラフィー(Focal mechanism tomography, FMT)と呼ばれるこの手法は,地震すべりは標準的な摩擦係数によるクーロンの破壊規準に支配されるという古典的な物理法則から出発し,応力場に対する断層面の向きを調べることにより,その地震を駆動した流体圧を推定する.そして,個々の地震データから離散的に得られた流体圧の値に対し,ABICを用いたインバージョン解析のテクニックを適用することにより,3次元の流体圧分布を推定誤差と共に推定することが可能となる.本研究では,この手法を2009年イタリア・ラクイラ地震に伴う地震のデータに適用し,実際に観測された地震のデータから,震源域の詳細な流体圧分布を世界に先駆けて推定することに成功した.解析の結果,ラクイラ地震震源域には,深さ7〜10km付近に静水圧状態を20-40MPa近く上回る高圧流体が存在することがわかった.得られた流体圧分布の形や地震活動の時間発展を調べたところ,これらの地震活動は,高圧流体域からの流体拡散に伴う既存断層面の強度の低下により駆動されたものであると考えられる.


解説:

 お話しされる内容は、2009年にイタリアのラクイラで発生した地震のデータを解析することにより、震源領域の流体分布を推定することができたという内容です。ラクイラの地震は、4月6日に発生したのですが、前震活動が比較的活発な地震でした。このような地震が発生すると、通例として地震の発震機構解(メカニズム)が求められ、地震を引き起こした応力あるいはすべり面の推定がなされます。寺川さんは、発震機構解の解釈をさらに進めて、流体分布をも推定できることを示したものです。群発的地震活動と流体との関係については古くから議論がありましたが、この研究は定量化な議論を可能にする画期的なものだと思います。

地震火山・防災研究センター教授 山岡耕春


感想:

I enjoy the first seminar of Terakawa Sensei as new Sensei in Nagoya University. The atmosphere of seminar was relax and friendly, and the content of the presentation impressed me. Terakawa Sensei firstly introduced about her CV briefly and then about one of her topic interest. She shared about her journey from work and first motivation until she deeper her knowledge in this field. She also shared her experience in Geodynamic Group in University of Bonn, Germany, from motivation, professor and research.
 
There are four interest research area: Strenght of San Andreas Fault, CMT data inversion method, 3D tectonic stress field in and around Japan, and Focal Mechanism Tomography (FMT). This time, she presented about the 4th field: FMT, with title "Identification of the high fluid pressure source driving the 2009 L'Aquilla Earthquake Sequence". It is very new for me, so it really enrich my knowledge. From the focal mechanism, three dimensional fluid pressure distribution in the source region of the 2009 L`Acquilla earthquake is estimated. This analysis showed that the earthquake sequence has been driven by postseismic fluid flow due to the mainshock. Very interesting.

Hanifa Gunawan D3




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