特別講演(2010/02/08)



日時:2010年2月8日(月) 15:30〜16:30
場所:地震火山・防災研究センターセミナー室(E411)
講演者:松多 信尚 (地震火山・防災研究センター特任研究員)
講演タイトル:「台湾東部・台東縦谷断層の逆断層クリープ現象 と変動地形」


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講演要旨:  
 
 変動地形学は内的営力による地殻変動によって地表に現れたアウトプットである。その形態は我々が観測では得られない長期間の平均的な変形を面的に保存し、様々な情報を与えてくれる可能性がある。糸静線を例にその可能性を簡単に紹介した後、本題に入りたい。
 台湾島はユーラシアプレートとフィリピン海プレートが衝突する場所に位置する。台東縦谷はフィリピン海プレート上のルソン弧側の火山岩や堆積岩からなる海岸山脈とユーラシアプレート側 の変成岩からなる中央山脈の境界に位置する北北東―南南西に延びた谷である。この谷の東縁には東傾斜の逆断層である台東縦谷 断層が分布し、1951年の花蓮地震(M7.4)、台東地震 (M7.1)、2003年の成功地震(M6.4)などの被害地震を起こしている。中部のセグメントではトレンチ掘削結果から再来周期170-210年とされている(Chen et al, 2007)。また、この断層の南部池上(Chihshang)地域はク リープメータが設置され17-19mm/yr程度の早さで地表面が短縮している(Angelier, 2000)。またGPSではこの断層を挟んだ短縮速度は35mm/yrと観測され、水準測量では24mm/yrの隆起が観測されている(Yu et al.,2001)。この断層 に伴う地形地質学的隆起速度は富里(Fuli)で28mm/yr(朱,2007)、海岸での隆起は海成段丘から7-8 mm/yr とされる(Hsieh and Rau, 2009)。このクリープ区間は人工物の亀裂などから、北は玉里(Yuli)付近、南は鹿野 (Luye)付近までとされる。我々はクリープ区間の北境界部付近で、断層深部での断層面上のすべり量の分配と地表近傍でのク リープ現象の解明のため、稠密な水準測量を名古屋大学で学位を取って日大に就職された村瀬さんと2008年2009年のいずれも8月に行った。
 その結果、測線が通過する4断層のうち、有意な変形が見られたので台東縦谷断層のみである。この断層を挟んで下盤側から若干の隆起が認められ、断層を挟んだ200mの間で1.7mm、トータルで約2.6mmの変位が認められる。変位のパターンは断層近傍が最も隆起量が大きくなっており、上盤側 では地表の断層位置から短波長の増加・減少・増加がみられ、その後一様に減少する。その理由は3つ考えられ、断層面上の滑りが減衰するためか、地下浅部で断層面の傾斜が緩くなるためか、 断層と測線との斜行する位置関係による見かけ上のものと考えられる。ただ、同様な断層上盤側の短波長の褶曲変形は調査地点より南の時代の異なる地形面にも認められることから、測地測量の結果見られる地表変形のパターンは地下の断層の形状による可能性が高いと考えている。
 また、測地測量の結果と海岸で完新世の海成段丘から求められる隆起量と比較すると、1年の隆起量は測地測量の結果が有為に大きく、知られていないエピソディックなイベントがある可能性があると推定される。 
 

感想:


 Seminar on Feb 8 2010 by Mr. Matsuta discussed the variation of ground deformation related to active faults on the eastern part of Taiwan.
 Mr. Matsuta explained that the variation includes locking, partially locked and creeping phenomena from south to north based on data interpretation obtained from long term observation. This seminar showed the possible models to explain the mechanism of the active faults on this region.
 The explanations gave us clearer understanding on the fault mechanism and valley development process in Taiwan.

Agustan(インドネシア) D3





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