駿河湾の地震にかかる海底地殻変動臨時観測結果(暫定)

要点

  1. 2009年8月11日の05時07分に駿河湾を震央とするM6.5(気象庁発表)の地震(以後,『駿河湾の地震』と呼ぶ)が発生した.
  2. その地震後の8月25〜26日に東海大学・静岡大学との共同のもとに,その地震の震央から北北東に約20km離れた海底ベンチマークにおいて臨時で海底地殻変動観測を行った.
  3. 臨時観測の結果,地震時の水平変動は,南に6.3±5.5cm,西に4.2±3.3cmであった.
  4. 概要の詳細をまとめた報告書

    【謝辞】 臨時観測にご協力いただきました東海大学の実習船「北斗」の関係者各位に感謝いたします.


臨時観測:概要

 名古屋大学では,東海大学海洋研究所地震予知研究センターおよび静岡大学理学部と共同研究の下で,キネマティックGPS測位と超音波測距とを組み合わせた海底地殻変動観測[田所ほか,2008;Ikuta et al., 2008]を行なっている.2009年8月11日に発生した駿河湾の地震による海底での地殻変動を観測するために,図1に示した赤丸の地点に設置した海底ベンチマークにおいて,8月25〜26日に臨時観測を実施した.この地点は,駿河湾の地震の震央から北北東に約20km離れた場所に位置する.


臨時観測:結果

 過去の結果も含めた海底ベンチマーク位置の決定結果を図2に示す.過去の結果を外挿して推定した駿河湾の地震発生直前の座標と,今回決定した座標とを比較すると,地震時の水平変動は南に6.3±5.5cm,西に4.2±3.3cmとなる(図3).今回の海底地殻変動観測からは,少なくとも南に2.5 cm,西に1.6 cmの変位が観測された.しかし,国土地理院によって求められた震源断層から予測される海底観測点での変位(北に0.6 mm,東に1.4 mm)とは一致しない.

 ここに示した結果は暫定解であり誤差楕円が大きいため,新手法を用いた解析と今後行う観測の結果を用いて確認したい.なお,9月末には石廊崎西方に設置している異なる海底ベンチマークの観測を行う予定である.

図2:海底ベンチマーク位置の決定結果.初回の位置を原点とした局地直交座標系で示している.図中の赤縦線は,駿河湾の地震発生日を示し,黒線は,エラーバーによる重み付き最小二乗法でフィッティングした線分.2008年までの解析結果に対してフィッティングし,今回の観測日まで外挿している.2007年07月の観測結果は,観測船の姿勢測定に不具合が生じたためにトレンド推定から除外した.

図3:駿河湾の地震時の海底地殻変動(黒矢印).陸上の観測変位(黒矢印)は,国土地理院によるGPS連続観測結果(F3解)から算出した.大潟(950241)観測点を基準固定点として,基準期間(2009年08月05〜09日)と比較期間(2008年08月11〜15日)から計算される地震時変位を示す.計算変位(白矢印)は,国土地理院によって発表された震源断層モデルから計算した.

以上,杉本慎吾・渡部 豪・田所敬一による


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